2021年に要注目のグラフィックデザイン最新トレンド11個まとめ

 

 

この記事では、これから2021年に注目したいグラフィックデザインの最新トレンド11個をピックアップ、大予想しています。よりクリエイティブなデザインを表現できるテクニックを、たくさんのデザイン事例と一緒にご紹介です。

 

 

コンテンツ目次

• 1. アブストラクト系サイケデリック
• 2. シンボルの復活
• 3. レトロ・フューチャリズム
• 4. シュルレアリスム
• 5. 本物志向なデザイン
• 6. 型破りなキャラクター
• 7. コミック漫画とポップ・アート
• 8. ファインアートの活用
• 9. 自然を感じるデザイン
• 10. ぼかしとザラザラ
• 11. 社会性を意識したデザイン

 

01. アブストラクト・サイケデリック Abstract psychedelia

 

サイケデリックのルーツは60年代の音楽とアートシーンにあります。社会の激変を背景に、クリエイティブな体験による心の開放を目指したスタイル。

 

当時は今とは対照的に、サイケデリックでカオスなイラストが自由を育み、デザイナーが従来の制約に縛られなくなったという感覚が、この時代にうまく合っているように思います。

 

 

2021年には、だまし絵で人々を魅了したM.C.エッシャーも驚くような、過剰な配色カラーと強烈なほど複雑な抽象画イラストをつかった、サイケデリック・スタイルが復活するかもしれません。

 

今まで見たことのない唯一無二のデザインは、ユニークなレイアウトと複雑さによって、生命力を持っているような力強い仕上がりを演出できます。

 

via Eliza Osmo

 

歪みのある形状や混乱したような画像がポイントになりますが、複雑な構成であっても左右対称は安定しているように感じるでしょう。まるでコロナウイルスによって世界がガラリと変わってしまっても、他に道はあると示唆しているよう。

 

 

 

02. シンボルの復活 Symbol Revival

 

デザインにおいては、小さな細かいことが重要になります。布に色付きでバーを加えると国旗になり、赤い八角形のシンプルな形が「停止」サインにもなります。

 

歴史的に見ても、このようなシンボルマークは普遍性を意味しています。トラディショナルなシンボルの力は、言語を超越する能力にあります。

 

202１年には、デザイナーたちはこの力を活用して、回復力（英: Resillience）や成長（英: Growth）、自信を高める（英: Empowerment）といった意欲的で、ポジティブなデザイン作成に人気が集まるでしょう。

 

via Yokaona

 

このトレンドのポイントとしては、女神や星、ライオンなど権力の象徴となるアイテムをデザインに取り入れることです。

 

また中世ヨーロッパの紋章やステンドグラスなど、クラシックなデザインを現代風にアレンジ、追加してみても良いでしょう。これらの古典的なシンボルマークを通して、来年の厄払いに必要なお守りを表現しているとのこと。

 

via svart ink

via Thio™

 

 

03. レトロ・フューチャリズム Retro Futurism

 

過ぎ去った時代をSF的に描くレトロ・フューチャリズム（英: Retro Futurism）は、過去の予想が間違っていたことを、大げさにアピールするのが特長です。空飛ぶ車や光線銃、人間の形をしたロボットメイドなどが未来では登場すると、当時の人々は本気で考えていました。

 

 

このデザインスタイルは、明るい配色カラー、コンピュータに影響された機械的なタイポグラフィ、宇宙ヘルメットやアーチ状の曲線などを活用してみると良いでしょう。

 

2021年のレトロフューチャリズムは、過去に理想とされた時代に戻るのではなく、これからの時代の「古き良き時代」に引き戻すことを意味しているのかもしれません。

 

via Serhii Polyvanyi via Dribbble

 

 

04. シュルレアリスム Seamless Surrealism

 

シュルレアリスム（英: Surrealism）という言葉は、芸術用語のなかでも特にイメージしにくいスタイルのひとつ。辞書で調べても「超現実主義」と書かれていて、さらによく分かりません。

 

画家の無意識の世界を覗き見みしたような、言葉で説明しにくい世界観が特長です。リアルさを残したシュールなデザインは、2020年に起こったコロナウイルスの世界的大流行が、普段の生活様式に影響を与えたことを反映しているとも言えるでしょう。

 

via _Ossobüko_

 

グラフィックデザイナーは、この不安な気持ちをシュールなコラージュで表現しています。首から下は普通のりんご頭男や、裏庭のプールには美しい山並みが広がるなど。

 

 

このスタイルは目の錯覚にも似ており、それぞれの画像を切り離すのがむずかしく、不思議でユニークな継ぎ目のないデザインの一体感を表現します。

 

ポスターやアルバムアート、ブックカバーなど、画像を中心としたメディアでの利用が期待されているトレンド。

 

 

 

05. 本物志向なデザイン Authentic representation

 

BLM（Black Lives Matter）運動は、世界的な抗議活動による、これまでに類を見ない転換期を迎えています。

 

これは人種の偏見を見直すはじまりに過ぎず、その影響が2021年にグラフィックデザインを含む、あらゆる分野や産業に波及することが期待されています。

 

via Dudeowl

 

これまでにもオリジナル性の高いイラストや、よりナチュラルで自然体のストックフォト写真において、より多用な人種による表現が増えてきています。

 

2021年には、この傾向はより祝賀ムードのあるデザインになると予想されています。BLMの抗議活動では、黒人の男性や女性によるパワフルで、感動的な瞬間やポーズが数多く撮影されています。

 

via Jdodo

 

デザインで避けるべきことがあるとすれば、「同じである（英: Sameness）」ということです。さまざまな文化や肌の色、年代、アイデンティティを強調することは、本当の意味でのオンリーワンなデザインを作るきっかけとなるでしょう。

 

 

06. 型破りなキャラクター Irreverent characters

 

すぐれたデザインには物語があり、そのストーリーを忘れられないものにします。2021年は、多くのグラフィックデザイナーが抽象的なヴィジュアルから一転、型にとらわれないユニークなキャラクターを採用するようになるでしょう。

 

キャラクターがより個性的であればあるほど、人々の記憶により残るものとなります。

 

via jcontreras

 

コンセプトイラストレーションは、キャラクターのポーズだけでなく、手描きで個性を表現するコンセプトイラストレーションが、このトレンドの中心と言えるでしょう。

 

そのため繊細なクロスハッチングから、現代の漫画のようなシンプルな形状、線、配色まで、さまざまなスタイルが考えられます。たとえば、スーツを着た動物や擬人化された寿司など、これらのコンセプトこそが、今後のトレンドを予想しているのかもしれません。

 

via Wintrygrey

 

 

07. コミック漫画とポップ・アート Comics and pop art

 

ヴィンテージ、レトロなデザインスタイルの人気は、毎年のように訪れます。来年は、ビンテージコミックのザラッとした配色、ベタ塗りのインク、漫画のような集中線、アクションラインの人気が予想されています。

 

via WolfBell

 

印刷技術が誕生したばかりの時代に生まれたコミック漫画は、色を表現するためにハーフトーンやドット柄シェーディングを使用することが多かったそう。

 

同じテクニックを現代のデザインに活用することで、ザラザラとした質感や奥行き感のあるフラットデザインなど、モダンで新しいミニマルスタイルのトレンドを表現できます。

 

同じようにWebデザイナーは、斜めのパネルや歪みのあるナチュラルな形状などを用いることで、グリッドレイアウトを崩し、ドラマチックな動きを演出することができます。

 

via bayuRIP

 

スーパーヒーローのようなキャラクターが必要というわけではなく、古いヴィンテージ漫画で使われている質感やイラストのテクニックに目を向けてみるとよいでしょう。

 

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08. ファインアートの活用 Fine art infusion

 

これまで歴史的な名画などのファインアートと、デザインの間には境界線がありましたが、2021年は気にする必要はありません。そうすることで、アクリル絵の具による筆画や抽象絵画などのテクニックが、世界中で人気になるでしょう。

 

via LucaToni

 

抽象画は、デザインによる表現を完全に自由にします。配色や質感、形状、余白スペースなどのデザインルールは全くありません。

 

 

絵画はランダムな表面の変化や奥行き感をデザインに与え、まるで触っているようなリアルさを演出します。特にファインアートは歴史のある文化や階級などを連想させるので、ワインのラベルや化粧品のパッケージなど、古き良き時代の雰囲気をテーマにした商品にも有効なトレンドと言えるでしょう。

 

 

また、絵画はデジタルペイントよりも暗い色調が特長で、デザインにおごそかで厳粛な雰囲気を表現できます。陽気なイメージではありませんが、このようなデザインは見るひとの心を自然と和ませてくれます。

 

 

09. 自然を感じるデザイン Elements of nature

 

2020年の新型コロナウイルスによる外出自粛により、多くの人が一年の大半を家の中に閉じこもって過ごしました。自宅で仕事をするフリーランスのライススタイルが、孤独な監禁生活にも似ていると感じたデザイナーもいるかもしれません。

 

2021年は外の世界、つまり自然をテーマにしたデザインが増えても不思議ではないでしょう。

 

 

このトレンドが葉っぱの柄パターンや控えめなナチュラル配色、絶景イラストなどスタイルに関わらず、グラフィックデザインは自然をテーマにした方向に進んでいます。

 

このトレンドの最大の特徴は、エコなどの環境に配慮した製品、デザインに留まらないという点です。

 

自然をモチーフにしたイラストや画像を用いることで、静けさ（英: Serenity）や再生（英: Renewal）、成長（英: Growth）を表現することから、これこそが2021年に期待されているデザインかもしれません。

 

 

10. ぼかしとザラザラ Blur and grain

 

グラデーションや鮮やかな色の変化は、数年前から人気のトレンドです。2021年には、さらにぼやけた背景やブレンドされた背景など、新しいデザインスタイルが登場するでしょう。

 

ザラッとした粒状の質感を表現したグレイン（英: Grain）フィルターを加えることで、トレンドにまるで本物のような手触りをうまく演出できます。

 

via iva

 

このトレンドのメリットとしては、巨大なタイポグラフィや感情を揺さぶる画像をよりポップに仕上げることができる点です。

 

これまでの明るい雰囲気のグラデーションとは対照的に、気が滅入るような内容にも適しています。粒状の質感には、独特のザラザラ感があり、ぼやけたイメージは影や見えていないものを連想させるでしょう。

 

このトレンドは雰囲気が重要で、ダークな面をもつデザインツールとして、ますます注目されることが期待されています。

 

via glimmm

 

 

11. 社会性を意識したデザイン Socially conscious design

 

新しい10年の幕開けとなる2020年は、世界がどれだけ変化、変革を必要としているかを理解する年でもありました。ヘルスケアから環境保護、BLM運動、新型コロナウイルスによるパンデミックへの備えなど、これからの多くの課題を明らかにしました。

 

誰もが自分の役割を考えることで、これらの問題は転換期となるかもしれないということは、良いニュースと言えるでしょう。

 

 

このような背景から、世界中のデザイナーがそれぞれの才能を発揮し、地域社会のために貢献しようとしています。

 

これまでにも団結（英: Unity）や責任（英: Responsibility）、アドバイス（英: Advise）といったメッセージを伝える、クリエイティブなハンドレタリングの人気が続いています。2021年に入ると、あらゆるプロジェクトにおいてデザインがより重要に関わる年になることが期待されています。

 

 

 

2021年の準備はできていますか。Are You Ready for 2021?

 

2020年は、世界的なパンデミックの影響もあり、あまり良い１年だったとは言えなかったかもしれません。

 

しかし、2021年のグラフィックデザイナーたちは、転換期として自分たちなりの方法で、好転させようとしています。ネガティブなイメージからユニークで、型破りなキャラクター、自然をテーマにしたデザインや、シンボルの復活など期待されます。

 

どんなデザインスタイルが人気となるかまだまだ予想の段階ですが、このトレンドリストを参考にしてみてはいかがでしょう。

 

ちなみに2020年のグラフィックデザイントレンド予想は、こんな感じでした。

2020年に注目されているグラフィックデザインの最新トレンド10個まとめ

 

参照元リンク : 11 inspiring graphic design trends for 2021 – 99designs