Nike6.0などのデザインを手がけるイラストレーターAdam Haynes氏独占インタビュー

Nike 6.0」をご存知ですか。

Nikeがバイク、サーフ、スノー、スケート、ウェイク、インラインの6つのシーンをサポートしている新世代のパフォーマーのために設立されたスニーカーを主体とした製品ラインのひとつです。

 

現在、公式ホームページのカラフルなデザインが話題になっていますが、そのすべてのデザインを担当したAdam Haynes氏にPhotoshop VIPだけの独占ロングインタビューが実現しました。

気になるAdam氏の経歴や、Nikeと仕事をするまでの道のり、デザインの際に注意していることなどさまざまな質問に答えてくれています。
 

 

 

 

1. Photoshop VIPへようこそ。早速ですが、あなたの自己紹介と今までの経歴を教えてください。
 

 

今回は私の活動に興味をもってくれてありがとう。私の名前はAdam Karig Haynes(アダム・K・ハイネス)です。

アメリカ合衆国オレゴン州ベンドという町を拠点にフリーのイラストレーターをしているよ。

 

もともとはオレゴン州の中心部分のカスケードで生まれて、子供のころは森や川や山に囲まれて育ったんだ。

そのときにはテレビもなかったから、森を探検したり、読書をしたり、絵を描いたりして幼少時代を過ごしたよ。

いつから絵を描き始めたのか覚えてないくらいなんだけど、モンタナ州にあるデザイン学校に通いだしてから仕事として興味を持ち始めたんだ。

 

デザイン学校を卒業した後、オレゴン州に戻り、AddidasのTシャツデザインの仕事を4年間してアパレル産業について学んだんだ。

フリーのデザイナーとして生計を立てていくためにベンドに移りすんだのが4年前のことで、今は子供のころから夢だった、自分の好きなプロジェクトを好きなだけ出来るフリーのデザイナーをしているよ。

 

 

 

 

 

2. あなたの作品をみていると、自然をそのまま表現したような土臭いものがたくさんあります。あなたのライフスタイルとどのように関係しているのですか。

 

 

ただ自分の周りにあるものをペイントしたり描いたりしているだけなんだ。

アウトドア生活が大好きで、自分の時間の多くを森の散歩や写真を撮ったりしているんだ。

 

自然世界にあるものにすごい興味があって、その中でも好きなのが人工的に作られて捨てられたものとそれらが時間が経過するにつれて自然に戻っていく過程を眺めることだよ。

 

 

 

 

 

3. 作品の多くが木材にそのまま描かれています。どうしてこの方法で絵を描くのですか。また、何を使って作品を完成させているのですか。
 
 
再利用の木材にペイントするのが好きなんだけどいくつか理由はあるよ。

まずひとつめとして、木材は十分な重さがあって丈夫で自分の表現したい命の大切さやタフさを物語ってくれるんだよ。

 

そして木材はカンバスのように完璧じゃなくてでこぼこで不完全な感じが好きなんだ。

自分にとって、それこそが「美しさ」であるのかな。

そんな木のもつユニークな素材にデザインすることで新しいハーモニーが生まれてくれるように考えているよ。

 

 

 

 

 

4. これまでにNikeやAddidasなどの世界的に有名な企業とコラボレーションしていますよね。デザインを提供する以外にこの様な大企業と仕事をすることによって得られることはありますか。
 

 

もちろんだよ!

大企業とコラボレーションすることはとても素敵なことだよ。

 

Nikeは自分の作品を提供することによって金銭面的にも多額のサポートをしてくれるよ。

またバスの横部分や建物、巨大な掲示板などに自分の作品を宣伝してくれるんだ。

これは自分にとってかけがえのないものだよ。

 

宣伝してくれることによって新しい顧客を見つけたり、デザインの世界において自分の名前を広めてくれるから言葉にできないくらい助かっているよ。

もちろんそのような経験が自分の作品に加わることも嬉しいよね。

 

他の利点としては、NikeやAddidasなどの大企業は一度プロジェクトが成功するとその後も何度も仕事を任してくれるんだ。

これはフリーの仕事をしている上でもとてもいいよ。

 

 

 

 

 

5. あなたが作品を完成させる際に手順があると思うのですが、どのような工程で作品を完成させているのですか。

 

 

通常、まず鉛筆で完成サイズの25%のサムネイルをスケッチしていくんだ。

どのような作品に仕上げたいか決まるまでこの工程を繰り返して、そこから木材に直接スケッチしていく。

完成させるまでの時間はいつもぎりぎりだから、実物大の大きさで2回目のスケッチをしているよ。

 

クライアントに作品を提出すると、大体そこからいくつかの変更点が出てくるから、その変更点の大きさや用途によってもう一度書き直したり消したりするよ。

時にはフォトショップで変更する場合もあるんだよ。

 

そしてそのスケッチにOKがでたらブラシとクロークイルペン(ハシボソカラスの羽を使ったペン)を使ってデザインのラインを描いていくんだ。

最終的に作品をスキャンしてフォトショップに取り込み、不要な部分を削除して色を入れていくんだ。

 

出来るだけ手作業で仕上げたいからテクスチャやカラーをブラシでペイントしてそれをまたスキャンして作品に加えたりしているよ。

そして最終的なフォトショップで完成した作品を顧客のサーバーにアップロードしたら終了かな。

 

 

 

 

 

6. 作品作りのインスピレーションを得るためにいつも購読しているホームページ、ブログなどあったら教えてください。

 

 

色々な方法でインスピレーションを得ているけど、いくつかの主要なプロセスがあるんだ。

まず自分の所有しているデザイン集や古い漫画だ。

この作業によって視覚的効果やレイアウトのアイデアを考えるんだよ。

私の好きなのは、日本の漫画「アキラ」、Frank Millerの作品全般、KozyndanEvan Hecoxなどが挙げられるかな。
ホームページなどの検索なども同じくらいするけど、一番いい方法はカメラを持って家から飛び出して、長い散歩やバイクに乗ることかな。

いろんな角度から自分のテーマとなるものの写真を撮りに探しに行くだけではなくて、鉛筆で描き出す前に自分の取り掛かっているプロジェクトの問題や解決法をじっくり考える時間にもなるんだ。

 

 

 

 

 

7. 今後の活動予定を教えてください。

 

 

今はESPN(メディア・エンターテインメント企業大手・ウォルト・ディズニー・カンパニー傘下のスポーツ専門チャンネル)のXゲーム用にいくつかの作品を手がけているのとFuel TV(現在いくつかの番組がフジテレビ ワンツーネクストで放映中)の自分だけのアニメ番組を制作中だよ。

また今年の夏の終わりと秋にあるいくつかのアートショーを控えているよ。

 

 

 

 

 

8. 今回はPhotoshop VIPのインタビューを引き受けてくれてありがとうございます。最後に、あなたの様なプロのデザイナーを目指している人や読者に一言ありますか。

 

 

私がしていることに興味を示してくれて本当にありがとう。

私がアドバイスできるのは一生懸命作品に打ち込み、長い目でみたゴールを決めることかな。

 

アーティストやグラフィック・デザイナーになるにはとても時間がかかるから辛抱強さが大切になってくるよ。

よい機会はあなたが望んでくるときにやってくるから、その機会が来たときに逃さないようにするのが大事になってくるよ。

 

これからデザイナーやイラストレーターになろうとしている人たち全員がうまくいく様に願っているよ。
読んでくれてありがとう。

 

Adam Haynesの作品に興味のある方は以下のサイトを参照してください。

Adam Haynes公式ホームページ
http://www.stickfort.com/