[fancy_box]海外デザインブログDesignShackで公開された「Minimal Design: How to Design More with Less」の著者 Carrie Cousinsより許可をもらい日本語抄訳しています。[/fancy_box]
余白スペースを利用したミニマリズム(英: Minimalism)は、現在大きなデザイントレンドとなっています。このデザインテクニックをマスターするのは、一見簡単に見えるかもしれませんが、十分すぎる空白スペースと限られたデザインオブジェクトを利用した、とてもむずかしいテクニックです。できる限り多くの情報を表示することが多い企業サイトでは、クライアントと話をまとめるときに苦労するかもしれません。
しかし多くのデザイナーにとってミニマルスタイルに着目し、余白スペースを最大化することはたのしい挑戦とも言えるでしょう。プリント印刷やウェブデザイン、商品パッケージなどあらゆるデザインに対応できます。今回は現在流行しているデザイントレンドを参考にしながら、ミニマリズムを表現するテクニックをまとめてご紹介します。
ミニマリズムって何?
デザイナーがミニマリズム(英: Minimalism)についてはなすとき、「見たら分かるよ。」と曖昧にされがちなテクニックで、完璧な公式などはありません。
しかしながらデザイナーの多くが賛成する、ミニマルスタイルの特徴として、いくつかの共通ポイントがあります。
[list type=”star”] [li]最小限かつ基本的デザイン要素のみにする。[/li]
[li]シンプルな機能性とユーザーインタラクション[/li]
[li]プロジェクト全体の印象を伝えるディテール[/li]
[li]十分すぎる余白スペース[/li]
[li]シンプルで、配色のすくないカラーリング[/li]
[li]単純なストロークのフォントを1つないし2つ利用[/li]
[li]コンテンツを簡易化する[/li][/list]
これは、グラフィックデザインだけの原理というわけではありません。ミニマリズムは、アートや音楽、ファッション、インテリアや文学など数多くの現場で活用されています。そしてミニマリズムといえば、「Less Is More(シンプルこそ美学)」というフレーズがたびたび登場します。決まり文句のように聞こえますが、これこそがミニマルスタイルを表現する、もっともベストな方法のひとつとして使われています。
余白スペース(英: Whitespace)の使い方は、ミニマルデザインを考えるうえで鍵となります。デザイン要素を少なくすることでのみ、より幅広いスペースを取り入れることができます。効果的なミニマルデザインを進めるうえで、まずはこれを覚えておきましょう。
コンテンツをシンプル化しよう。
コンテンツのためにデザイン制作を行いましょう。ミニマルデザインを作成するとき、わかりづらい複雑なメッセージは避けるようにしましょう。コンテンツの種類は、デザインのアウトラインとうまくマッチしていることが、どんなプロジェクトにおいても重要となります。
コンテンツをデザインするときはいくつかのポイントなる質問を自分自身に投げかけてみましょう。
[list type=”star”] [li]それは理解しやすいですか?[/li]
[li]それはユーザーに完結に説明されていますか?[/li]
[li]イメージ写真や文字ワードはシンプルでベーシックですか?[/li]
[li]アイデアはあまり説明不要で、首尾一貫していますか?[/li][/list]
もしこれらの答えが「YES」の場合、ミニマルデザインのアウトラインは一番ベストな方法といえるでしょう。そうでなければ、一度プロジェクトをストップして、このテクニックを見直してみましょう。
デザイントリックを少しずつ取り除こう。
過去数年のあいだ、デザイナーはフラットデザインとスキューモーフィズム(英: Skeuomorphism)について討論してきました。これこそがミニマルデザインがふたたび出現した瞬間で、デザイナーは多くのデザイントリックを取り除きはじめました。
ミニマルスタイルのデザイン制作を行うとき、もっとも重要なポイントのひとつに、確実に必要にも関わらず、デザイントリックを省く傾向があります。繊細なドロップシャドウや質感たっぷりなテクスチャ、イメージ写真フレーム、文字テキストを編集するときは、注意を払う必要があるでしょう。
できるだけすべて取り除き、配色やタイポグラフィー、余白スペース、グリッドなど必要最低限の基本的なデザイン要素について考えるようにしましょう。
ディテールに着目しよう。
すべてのディテールには目的が必要となります。ミニマルスタイルのアウトラインでは、オブジェクトやデザイン要素は、背景デザインにかぶらないように配置されます。すべての要素が関連付けされているので、特に気をつけたいポイントとなります。
グリッドやコンテンツの並びなどに気をつけ、整理することで調和がとれ、目的のあるデザインへと仕上がります。デザインを見たときにユーザーがどのような反応をするのか考え、デザイン制作に取り入れていきましょう。
配色に目的をもたせよう。
ミニマルデザインの考えはときとして、モノクロデザイン的ビジュアルにも通じるところがあります。たとえばトレンド例として、ミニマルスタイルは色を使います。
彩度と輝度がカラーパレットと近い、ベーシックな色相の配色パレットを選択しましょう。1ないし2色の限られたカラーパレットのみを使うようにしましょう。またどの色が意味をもつのか考えておき、首尾一貫したカラーリングが大切になります。
タイポグラフィーに気を配ろう。
ミニマルデザイン・プロジェクトにおいてタイポグラフィーは、配色カラーと同様にシンプルでストレートである必要があります。
ミニマルプロジェクトではサンセリフ調フォントが人気で、巨大もしくはやや小さなサイズで利用されています。文字フォントはグラフィックの主要要素として扱われ、巨大なフォントがより誇張することで、ユーザーの視線がタイポグラフィーに着目されます。サンセリフフォント以外にも、読みやすくて効果的なフォントも利用してみましょう。
使用するタイポグラフィー同様に、表示する言葉にも気を配りましょう。デザインがシンプルなら、文字ワードもシンプルなものが良く、デザインより控えめにする配置するようにしましょう。ナビメニューやヘッドライン見出しなども、できればシンプルな数単語のみで表示するとよいでしょう。
十分な余白スペースを取り入れよう。
余白スペースはミニマルデザインと一緒に考える必要がある、鍵となるアイデアのひとつです。まずは配置するイメージ写真やテキスト要素、ライン線、クリックできるエリアなどに、それぞれ余分なスペースを加えてみましょう。
各余白スペース、デザイン要素を強調するように使用しましょう。また各デザイン要素へ余白を追加する目的や関連パターンを検討し、アイデアが首尾一貫であるか確かめておきましょう。(ランダムに余白を追加すると、デザインがぐちゃぐちゃになってしまう恐れがあります。グリッドシステムを利用して整理、計画しながらデザインしましょう。)
デザインを再編集しよう。
このパートがデザイナーにとって苦痛かもしれません。一度デザインのアウトラインが作成したら、再編集しましょう。さらにデザインを簡略化してしまいましょう。
焦点となるポイントを決め、そのまわりすべてを取り除きましょう。さらにこの部分に注目が集まるように、余白スペースを更に作成します。重要となる焦点ポイントは、探りながら決めていきましょう。
焦点ポイントに直接関係ないコンテンツは、一度省いてしまいましょう。省いたコンテンツはいつでも戻すことができることを念頭におきながら、シンプルすぎるくらいにデザインすることが重要です。このテクニックを採用することで、本当に必要で基本最低限のデザインがなにか、教える手助けをしてくれるでしょう。
問題は削除するデザイン要素が何もないときです。そんなときは他のスタイルを採用したり、通常デザインの特徴を壊してみましょう。
[list type=”star”] [li]ソーシャルメディアにアイコンは本当に必要ですか?[/li]
[li]タグラインやキャッチフレーズは本当に必要ですか?[/li]
[li]あなたのウェブサイトの新着、人気記事RSSフィードは本当に必要ですか?[/li]
[li]マルチ・レビルナビゲーションは本当に必要ですか?[/li]
[li]名刺カードに表裏が本当に必要ですか?[/li][/list]
著者自身がミニマルプロジェクトで実践している実践している「5の法則(英: Rule of Five)」というものがあります。まずデザイン下書きの段階では、最高で5つのデザイン要素までしか使わないというルールです。通常この5つの要素にはブランド、イメージ写真、ヘッドライン見出し、ナビゲーションメニュー、余白スペースが用いられます。
もしデザインがまとまらずに困ったときは、案件を一度保留し、後ほど手直しすることも大事です。もう少しだけテキスト文字やデザインを取り除きましょう。そしてなにか足りないという状態にまでし、そこからひとつ要素を追加してみましょう。
最後に、、。
ミニマルデザインにおいては、読みやすさ(英: Readbility)と使いやすさ(英: Usability)の役に立つデザイン要素のみが利用されます。そのほか全てはただの飾り、デコレーションでしかありません。
今回ご紹介したデザインテクニックは、デザインの基本原則に立ち戻ったものと言ってもよいでしょう。タイポグラフィー、配色、グリッドなどの余分なデザインパーツを増やしたくなる衝動と闘いながら、シンプルを心がけましょう。
参照元リンク : Minimal Design: How to Design More with Less – Design Shack