クリエイティブ思考になろう!科学的根拠のある9個の実践したいポイント

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海外デザインブログCanva Design School Blogで公開された「Yes, Creativity Can Be Learned」より許可をもらい、まとめて日本語抄訳しています。

 

 

あなたはすごい想像力を持っているかもしれないし、持っていないかもしれない。そんな迷信は、人々の間で語り続けられています。

 

歴史上のクリエイティブな天才、偉人たちを連想したときに、8歳ではじめての交響曲を作曲したモーツアルトや、25歳で「アビニヨンの娘(Les Demoiselles d’Avignon)」を描き、キュビスムのはじまりとなったパブロ・ピカソ、または20歳で歳で「フランケンシュタイン(Frankenstein)」を出版したメアリー・シェリーなどを無視することはむずかしいでしょう。

 

しかし、40代のおわりに「最後の晩餐(The Last Supper)」を描くまで、成功しなかったレオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci)はどうでしょう。または、最初の小説「キャリー(Carrie)」の完成までに9年を費やしたにもかかわらず、提示額が3,000ドル(およそ36万円)だったスティーブン・キング(Stephen King)はどうでしょう。(実際、彼はそれ以来、小説の映画化によって100万ドル(およそ1億2,300万円)以上を手にしています。)

 

 

イギリスのビデオ物語作家のAdam Westbrookは、歴史上のクリエイティブな天才たちについて、次のように述べています。「わたしたちは同じように考え、タレント性があり、クリエイティブな考えも持ち合わせています。しかし今の問題点は、もうすこし辛坊強いひとはいないだろうか、ということです。」

 

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クリエイティブな創造性は学ぶことができます。それは考え方にちょっとした忍耐力と、ほんの少しの賢さが必要なだけです。今回は科学的に証明された、クリエイティブ思考になる9個のテクニックをまとめています。

 

いくつかのテクニックは、いつもと違うカラーパレットに囲まれたり、散歩の時間をつくるといったシンプルなものから、主題となるパターンを見つけたり、新しい体験にチャレンジするなど、マスターするまでにすこし時間のかかるものまでリストアップしています。しかし、本当のレッスンは、あなたが何歳であろうと、これまでどんな経験をしてきたかに関係なく、よりクリエイティブな思考を学ぶことはできます

 

 

 

詳細は以下から。

 

 

 

01. 独創性のある、物事の結びつけ方を練習しよう。

 

独創的な考えなどというものは存在しませんが、変わった見方による(Perspective)、独創的な考え方によって、表面上は関係のないトピックを関連付けることは、クリエイティブ思考の鍵のひとつです。

 

たとえば、Adam GopnikがThe New Yorkerにはじめて投稿した記事は、自身の学術研究であるルネッサンスアートと、彼の子供の頃から情熱を注いでいる、野球を組み合わせた、ユニークな記事に仕上がっています。異なる脚本や体験(コンセプチュアル・インテグレーション(英: Conceptual Integration)とも呼ばれている)の情報をうまくブレンドする能力で、複雑な比較を理解するための忍耐力が、クリエイティブ思考の中心にあることが、最近の研究によって分かってきています。

 

 

エンジニアや科学者など直線的思考(英: Linear Thinkers)のひとは、異なる情報から共通するパターンを見つけるのが苦手な傾向があります。本当は能力はあるのに、自分はクリエイティブではないと思っている多くの人も、直線的思考な傾向があり、さまざまな問題より、ひとつの問題を深く考えることを好むようです。どちらも物事の組み合わせですが、ひとつの問題のなかから共通パターンを探すよりも、異なる問題から共通パターンを探すことで、独自のアイデアのつなぎあわせ方や、クリエイティブな洞察力を刺激してくれるでしょう。

 

ではどうすればより良い、独自のアイデアのつなぎあわせ方ができるでしょう。まずは、聞くことからはじめよう。

 

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他人との会話は、新しいモノの見方や、これまで考えもつかなかった、ユニークな問題の解決方法を教えてくれます。同時にアートや文学、言語などへの順応性の手助けもしてくれます。アートブックを眺めたり、美術館に足を運んだことがないと、スポートと芸術を結びつけることはむずかしいでしょう。

 

そして最後に、幅広いセレクションを深く追求しながら、読書の時間をつくりましょう。これまで行ってきたことや、言及されている問題について知り、新しいアイデアを追求し、発見してみましょう。

 

より良い絵かきになりたいなら達人から学び、より良い作家になりたいなら偉大な作家の作品を読みましょう。(If you want to be a better painter, study the masters; if you want to be a more creative writer, read the greats.)

 

あなたの専門分野以外のアイデアを生み出すことは、決して間違っていることではありません。会話に新しいものを加えたり、やりがいのある歴史的な作品に貢献したりすることは、クリエイティブな思考の現れです。

 

 

 

02. 新しい体験にオープンになろう。

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二人の有名な心理学者が作成した、「5つの大きな個性の特長(Big Five Personality Traits)」のコンセプトにおいて、「新しい体験への寛容さ(Openness to experience)」は、誠実さ(英: Conscientiousness)や外向性(英: Extraversion)、同調性(英: Agreeableness)、神経質(英: neuroticism)と並んで記述されています。「新しい体験への寛容さ」は、あなたが美的感覚を持ち合わせ、ダイナミックな想像力や、心のなかに秘めた感情を理解でき、落ち着きがないくらいに好奇心が旺盛で、ものごとに敏感であることを意味しています。

 

ありがたいことに、「新しい体験への寛容さ」は微調整し、改善することができます。

 

Annie Dillard氏は、The Writing Lifeの中で、「毎日の過ごし方は、もちろん人生の過ごし方でもある」と述べています。

 

新しい言語を学んだり、新しい人に会ってみたり、新しい食べものに挑戦したり、難しい本やパズルで知性を磨いたり、難航している政治問題などに目を向け、新しい体験をしながら暮らすことで、少しずつですが確実に、よりクリエイティブに生活が変わってくるでしょう。

 

 

 

03. 散歩の時間をつくろう。

 

ある人はシャワーの中でアイデアは思いつくと言いますが、最近の研究によって、散歩しているときによりひらめきやすい傾向があることが分かってきています。スタンフォード大学の研究によると、1967年に発表されたGuilform’s Alternative Uses Taskを採用した実験で、81%の被験者が散歩によって、創造性が増加し、散歩のあとでも創造性を押し上げていることも分かっています。

 

スタンフォード大学の研究者たちは、同じように被験者に隠喩、メタファー(英: Metaphor)をたずねました。実験では、「生まれかけのマユ(Budding cocoon)」から連想できる、似ているけど異なる隠喩(たとえば「卵が生まれる(an egg hatching)」など)を書き出してもらいました。

 

みじかい散歩をし、戻ってきた被験者の95パーセントは隠喩を考えつくことができた一方、部屋の中に同じ時間だけ座っていた場合、被験者の50パーセントしか隠喩を考えつくことができませんでした。

 

 

長いあいだ、クリエイティブな偉人たちは、散歩することの重要性を理解していました。「座りながら書くことは無駄で、生きるために立ち上がらないようなものだ。」と19世紀の思想家ヘンリー・デイヴィッド・ソロー(Henry David Thoreau)は、自身のジャーナルに綴っています。「足を動きはじめた瞬間から、私の考えは湧き出します」。心拍も上がり、血流や酸素の循環が改善することで、脳みそのはたらきにも恩恵を受けます。

 

 

 

04. 生活にもっと緑をふやそう。

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色による神経科学は、難解なテーマですが、多くの方法において、すべて緑につながります。個性と社会心理学(Personality and Social Psychology Bulletin)による研究によると、「クリエイティブな作業の前に、緑を見ることで、クリエイティブなパフォーマンスが強調される。」とのことです。

 

 

文章を書いたり、デザインを制作するなど、クリエイティブ性が求められる課題に取り掛かる前や、作業途中でみどり色を見ることで、創造性をアップしてくれる傾向があり、青や黄色と言った他の色は、脳みそをリラックスさせてしまい、実際にクリエイティブ能力を低下させてしまいます。

 

 

 

05. 散らかった机で作業しよう。

 

信じられないような話ですが、経営学の教授は幅広い研究の結果より、「クリエイティブでいることは、伝統や順序、しきたりや慣習を断ち切ることで生まれ、散らかった環境は、人々がそのような行為を行う手助けをします。」と述べています。

 

さらに、歴史上のクリエイティブな天才たちは、散らかった作業机ばかりでした。もしあなたが本当に集中して、重要な作業を行いたいときはシンプルにしましょう。

 

 

 

06. 目立つことを怖がらないで。

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グループによる創造性に着目している、Sharon H. Kim氏の最新の研究によると、もっともクリエイティブなひとは、社会の中で目立ちたい、または目立っている、その反対に社会から拒否、拒絶された個人である、と考えています。

 

 

「独創的な解決方法を生み出すことは、めずらしく(英: Unusual)、まれ(英: Infrequent)で、潜在的に議論の的となる要素で定義され、目立ちたいという願望や、ユニークさを強調することで刺激されます。」とKim氏は述べています。「拒否された体験が、心理的なプロセスの引き金となり、クリエイティブな課題におけるパフォーマンスを抑えるよりも、活気づきます」。

 

社会の基本や標準を考えるのではなく、その中にフィットすることが、目立つための最初のステップとなり、クリエイティブな道が開けていくでしょう。

 

なにかに集中して着目したいときは、私たちの周りの人々や物事から離れ、一人になることで、脳科学におけるメタ認知と呼ばれる、「自分自身の考えについて批判的に、深く考えてみる」プロセスを助ける働きがあると、心理学者のGregory Feist氏はThe Boston Globeにて述べています。

 

 

 

07. あなたのアイデアに磨きを掛けよう。

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あなた自身のアイデアに、正しい質問を投げかけ(Clarify)、可能な限りの解決法やアイデアを見つけ(Ideate)、アイデアが実践的かどうか確認し(Develop)、そしてやってみよう(Implement)。

 

もともと「デザインの考え方(Design Thinking)」の練習から生まれたこの考え方は、会社の商品開発やサービス、プロセスや戦略をも一変してくれる方法です。

 

クリエイティブな突破口となるのは、突然のひらめきやインスピレーションですが、忍耐と厳しいルーティンによる副産物も生まれます。辛坊強く、上記で述べた4つのポイントを進んで実践してみましょう。ほとんどのクリエイティブな作業において、忍耐力はひらめきを打ち負かすでしょう。

 

 

 

08. リラックスした時間の重要性を知ろう。

 

ある研究によると、リラックスしている人は、クリエイティブな解決法を素早く見つける傾向にあります。リラックスし、とりとめのない夢想を描くことで、偶然アイデアを思いつきにくい、直線的で分析モードの考え方に比べて、2つのアイデアの間を精神的に漂う(英: float)手助けをしてくれます。

 

Richard Fisher氏は、New Scientistの中で、「漂流している状態(英: Drifting)は、確実にクリエイティブなジュースが溢れ出いているサインです。」と述べています。さらに、「素晴らしいアイデアに辿り着いたとき、集中力は過大評価されています。もし人の考えが定まっていないのなら、直感のひらめきが重要となり、いつも以上の成果を発揮します。想像力を高めるワードゲームなどで、より独創性の高い考え方をひらめく練習をしてみましょう。」と、クリエイティブ思考を高めるアドバイスしています。

 

 

 

09. 練習、練習、練習あるのみ。

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マルコム・グラッドウェルによる「天才! 成功する人々の法則(原題: Outliners)」の中でも、よく知られている「10,000時間ルール(英: 10,000 Hour Rule)」は、特定のクリエイティブな能力を身につけるまでに、わたしたちは10,000時間必要だ、という理論です。毎日8時間、週に5日続けた場合、本当に何かをマスターするまでに、最低でも5年かかります。

 

Redditサイトで行われた、Gladwell氏にユーザーが何でも質問することができる、インタビュー企画「Ask Me Anything」において、Gladwell氏はこのように述べています。「成功するためには、練習だけでは十分な状態ではありません。わたしは、100年でもチェスをプレイすることはできますが、決してグランドマスター(英: Grandmaster)になることはできません。ポイントは単純で、生まれつきの才能と言われるほど一目瞭然になるには、膨大な時間を費やす必要があるということです」。すなわち、クリエイティブはいつでも学ぶことができ、熟練のクリエイティブ思考になるためには、いつも不足している練習をしようということです。

 

 

それでも、可能な限りクリエイティブになるためには、昔ながらの方法を超えるトリック、秘訣はありません。

 

要約し、ブレインストーミングし、作業を行い、さらに磨きをかけ、それを繰り返す。(Outlining, brainstorming, working, refining, repeating) – これらがあなたをクリエイティブにする、確実な秘訣かもしれません。

 

 

 

そうです、クリエイティブな思考は学ぶことができます。

 

年齢に関係なく、クリエイティブな才能は改善することができ、10,000時間ルールを実践することが、よりクリエイティブになる最初の一歩です。

 

次のステップでは、科学の力によって少しずつですが、確実にあなたの可能性を広げてくれるでしょう。さあ、外に出かけて、緑に囲まれた環境を散歩してみましょう。そして、他よりも目立ち、ちょっと机を散らかして、新しい体験にオープンで、常ににものごとの共通パターンを探してみましょう。最大のポイントは、クリエイティブな作業をいつも続けることです。

 

夜寝る前に日記を書いてみたり、仕事に向かう電車のなかでノートに何かをスケッチしたり、新しくなったCanva Designを試してみるのもよいでしょう。あなたがすることは何でも、異なる、変わった、創造的なやり方で、いつでも考えて見るように心がけてみましょう。

 

 

参照元リンク : Yes, Creativity Can Be Learned – Canva Design School