アドビは、独自の生成AI最新モデル「Firefly 3」をベースにしたPhotoshopの新機能を実装したベータ版 v25.9 の提供をはじめました。
最新アップデートとなる今回は、今週ロンドンで開催されたイベント「Adobe MAX London 2024」に合わせて発表されたもの。
今回は、Photoshopに新しく追加された新機能の詳細を、フォトショップユーザー歴10年以上の筆者が実際に使ってみた感想と一緒にご紹介します。
ずばり驚いたのは、誰でも簡単に利用できる手軽さに加え、完成度の高いリアルさでした。
追加された新機能は5つ、生成AIでワークフローが変わる
前回のアップデートから新しく追加、大幅に強化された主な機能は以下の通り。それぞれどのようなことができるのか、詳しく見ていきましょう。
- リアルすぎる描写の「画像を生成」
- アイデアを広げる「類似を生成」
- 頭の中にあるイメージに近づける「参照画像」
- 商品向け広告やプレゼンに便利な「背景を生成」
- 解像度の制限、全開放「ディテールの強化」
リアルすぎる描写の「画像を生成」
まずはフォトショップを開き、お好みの写真をドラッグ&ドロップで配置します。今回は、アドビがサンプル用に提供している画像を利用しています。
ツールボックスより「長方形選択ツールM」を選択したら、画像を生成したエリアを囲みます。「生成塗りつぶし」というバーが表示されるのでクリック


生成したいアイデアを文字テキストで入力。30秒ほど待つと、、


リアルすぎる「座っているパンダ」が3つのバリエーションと共に提案されました。
ソファの縁なども違和感なく、太陽の当たり方も見事に表現できています。従来のフォトショップでAIを使わず、ここまで再現しようとなると、スキルはもちろん、編集時間も相当なもの。

アイデアを広げる「類似を生成」
生成された3枚の画像の中で気に入ったものがあれば、「類似を生成」をクリックしてみましょう。新たにその画像に似た3つのバリエーションが生成できます。
「雰囲気やスタイルはそのままで別のアイデアも欲しい」そんなときにも便利な機能。



同様のステップを繰り返し、生成した動物たちが以下。どれもリアルな描写が瞬時で生成され、思わず「おぉ」と声を上げてしまったほど。
新しくAdobe Firefly 3モデルになったことで、フォトリスティックな画像の品質やスタイル、ディテールの生成が大幅に向上しているのを実感。
正直なところ、これまではMidjourneyなど他の生成AIとのクオリティの差を感じていましたが、比較しても遜色ないレベルまで追いついた印象。
フォトショップならそのまま従来のツールを使って画像編集を続けることもでき、個人的にはもはや無敵。



頭の中にあるイメージに近づける「参照画像」
これまでAdobe Firefly web版のみで提供されていた「参照画像をアップロードして画像生成スタイルに活用する」機能が、ついにPhotoshopでも利用できるようになりました。
たとえば、以下の女性が背負うバックアップを「なげなわツールL」で囲み、生成塗りつぶしを試してみます。


たったこれだけで、参照画像に似たバックパックを生成できました。とにかく重なり具合など自然すぎて、本物かAI生成なのか分からないレベル。

何もないところから何かを生み出す「画像を生成」
「デザインアイデアが思いつかない」そんなときは、空白のキャンバスに「テキストから画像生成」機能が便利。
作成したいものについてプロンプトを入力し、好みのスタイルや効果を設定するだけで、何もないところからデザイン全体を作成できます。
試しに「ヘッドホン」というキーワードのみで生成してみます。

写真で撮影されたような本物そっくりなプロ仕様のヘッドホンが3つ生成されました。
ここに先ほど紹介した「参照画像」機能を活用し、宝石のようなクリスタル画像を参照として読み込ませ、再度生成してみると、、


少し待つだけで参照画像のスタイルを取り入れたヘッドホンが生成されました。
AIによる画像生成にありがちな不自然な仕上がりも、このレベルであればなくなったとほぼ言えるでしょう。

生成された画像をベースに、「効果」を追加することも可能。サムネイルを見ながら気に入った効果を追加していくだけでとても手軽です。
ここでは「ボケ効果」と「超現実的」を追加し、再度生成。
本当に販売されていてもおかしくない、宝石が埋め込まれたヘッドホンがほんの数分で完成しました。
さまざまな効果を誰でも使える手軽さで試すことができ、制作の方向性を決めるのにも役立ちます。


何もないところから何かを生み出す「画像を生成」
Photoshopの生成AIを利用した「背景を削除」なら、背景の切り抜きもクリックひとつで完了です。


背景を削除すると、コンテキストメニューバーが切り替わり、「背景を生成」よりそのままプロンプト入力ができるようになりました。
試しに「水」とだけ入力した結果がこちら。背景を違和感なく変更することができました。

背景を削除すると、コンテキストメニューバーが切り替わり、「背景を生成」よりそのままプロンプト入力ができるようになりました。
試しに「水」とだけ入力した結果がこちら。
水しぶきや背景の透け具合、影、遠近感など新しいシーンに一瞬で置き換えることができました。




Photoshopの「タイムライン」機能を使えば、生成した画像をフレームアニメーションにすることも簡単にできます。


解像度の制限、全開放「ディテールの強化」
生成バリエーションに表示される「ディテールを向上」を使用すると、よりシャープくっきりとなります。
従来のフォトショップでは生成できる範囲が最大1024pxだったため、生成した画像がぼやけてしまうという問題も見事にクリアしています。

アップデートで利用可能になったその他の非生成AI機能
- 「調整ブラシ」- 画像の一部分だけを変更したい時に便利なツール。明るさ、再度、露出などをペイントで調整できます。
- 「すべてのAdobe Fontsをフォトショップから利用可能に」- 未インストールのフォントからも検索でき、クリック一つで書体を取得できる
フォトショップ新機能を使ってみた感想
新機能を実際に試してみた感想として、「フォトショップが誰でも簡単に使えるアプリケーション」になりつつあるということ。
画像生成AIツールはたくさんありますが、商用でも安心して利用できるライセンスは仕事になるほど便利と痛感。
また、頭の中にあるアイデアを形にしたいときも、とりあえずテキスト入力すれば「たたき台づくり」としてもおすすめ。
今後がますます楽しみになってきました。
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参考文献・記事
- 生成AI機能大幅拡大のAdobe Photoshop(Beta)の遊び方 – Adobe Blog
- 高度に進化した「生成塗りつぶし」機能と新機能「画像を生成」を備えた新しいAdobe Photoshopで、すべての人に「つくる力」を
- アドビ、Adobe Firefly Image 3 Foundation モデルを発表
- アドビが独自AI「Firefly」を強化 クリエイターの意図により近い画像を生成 | Forbes JAPAN
- Photoshop(Beta)デスクトップ版
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