【AIスゴすぎ】Adobe Max 2023で発表されたオドロキの新機能5選

アドビは、日本では来月開催となるAdobe Max 2023を、一足早くロサンゼルスで開催しました。

毎年恒例となったカンファレンスで、ユーザーがもっとも楽しみにしているのが、「Sneaks(スニークス)」と呼ばれる、現在アドビが取り組んでいる最新テクノロジーを紹介する実験的な機能のショーケースかもしれません。

紹介されたすべてのSneaksがアドビの製品として実装・導入されるわけではありませんが、After Effectsの人気ツール「コンテンツに応じた塗りつぶし」は、実はもともとSneaksで披露されたのがきっかけです。

2023年は予想通り、AIに関連するツールや機能を中心に、11の新しいツールが披露されました。

ここでは、Adobe Sneaksで特に驚いた5つの未来的な機能を紹介します。

また後半では、Adobe Max 2023で発表された新機能や、各アプリのアップデートについてまとめています。

Project Stardust(プロジェクト・スターダスト)

アドビはカンファレンスに先立って、新しいAI写真編ツール「プロジェクト・スターダスト」をYouTubeでチラ見公開し、大きな話題となりました。

Fireflyを搭載したこのツールは、シーン内のオブジェクトや人物の削除、背景の変更などを簡単に行うことができます。

ここでは、スーツケースをクリックするだけで自由に移動させています。

画像クレジット Adobe

削除されたオブジェクトの背景は、その周囲に合わせて自動的に塗りつぶされ、Photoshopの「テキストから画像を生成」のように、まったく新しいアセットを生成し、画像に配置することも可能。

範囲を選択し、「Yellow Flowers(黄色の花)」と入力するだけで、生成AIによって花束が追加されました。バリエーションも3種類あるので、好きなものを選ぶか、再度プロンプト入力することも。

画像クレジット Adobe

たとえば背景に映りこんだ人を消したいときも、「Remove Distraction(邪魔なものを削除)」ボタンをクリックするだけで、AIが自動で削除してくれます。

画像クレジット Adobe

着ている服装を変更したいときも、ワンクリックでパーツを選び、どんな服装にしたいか入力するだけ。

写真加工の時間が大幅に短縮されるだけでなく、写真編集ソフトを使った経験のないひとにとって、より簡単なものになりそう。

画像クレジット Adobe

Project Fast Fill(プロジェクト・ファストフィル)

画像クレジット Adobe

Project Fast Fillは、まるで静止画を扱うように、ビデオ内のオブジェクトを削除したり、背景を変更できるAIプロジェクト。

アドビによると、照明など条件が変化する非常に複雑なシーンにも対応できるそう。

スーツで歩く男性の胸元を囲み、「Tie(ネクタイ)」と入力しただけで、動画全体を編集できています。

画像クレジット Adobe

後ろを歩いている人たちを静止画の状態でざっくり選ぶだけで、ビデオ内から消すことができます。

このように静止画像を扱うときと同じレベルの簡単さで、高品質でシームレスな編集体験が期待されるツール。

Project See Through(プロジェクト・シースルー)

窓ガラスに映った反射だけを取り除く新ツール

ガラス越しに被写体の写真を撮ったことがある人は多いでしょう。

Project See Throughを使えば、窓の反射のみを取り除き、まるで被写体と同じ部屋の中で撮影したような画像に一瞬で編集してくれるツール。

Project Primrose(プロジェクト・プリムローズ)

画像クレジット Adobe

外出先で服装を変えたいと思ったことはないでしょうか?

Project Prim Roseは、まさにそんなことが可能な未来を想像したツールです。

「Smart Display Fabric(スマートディスプレイ・ファブリック)」と呼ばれる機能をつかい、着せ替え可能なパターンを選べば、着用しているドレスの模様が瞬時に変更されます。

また人物の動きに合わせてパターンをアニメーションさせるなど、まさに画期的。

現段階ではモノクロの液晶ディスプレイですが、今後さまざまなファッションで見かけるかもしれません。

Project Resup(プロジェクト・レスアップ)

画像クレジット Adobe

Project Res-Upは、古いビデオや低画質のGIFの解像度をAIをつかって大幅に向上し、照明を強化したり、テクスチャなどのディテールを忠実に追加し、古い映像に命を吹き込むツール。

アドビは実際に1947年の映画「赤い家」の映像を、480×480から1280x1280pxに拡大したデモを公開し、驚くべき結果に。

Adobe Sneaksの全編はこちらで視聴できます。

Adobe MAX 2023: Sneaks

生成AI Fireflyが3つの新バージョンを公開

Adobe Max 2023では、この他にもさまざまな新機能が発表されています。

主な発表には、3つの新しいFirefly AIモデル「Firely Image 2」、「Firefly Vector Model」、「Firefly Design Model」がリリースされました。

新しいAI機能はすでにCreative CloudアプリとAdobe Express にも実装されています。

Adobe Firefly Image 2 Model

Firefly Image 2 Modelで生成した画像、細部まで細かく表現されている

画像生成AI「Adobe Firefly」がアップデートされ、新バージョン「Adobe FIrefly Image 2 Model」となりました。

新機能の主な特長が以下のとおり。

  • 写真的表現の品質向上 – 画像のより細かいディテールまで表現できるようになった。より鮮やかな色合い、コントラストの改善など。
  • 人物のレンダリング品質の向上 – 目や鼻、口、指や手、腕などの各パーツから、肌の質感なども表現も可能に。
  • 出力解像度がアップデート – 2048x2048pxの高解像度に。
  • 写真設定 – 絞りやシャッタースピード、視野を個別にカスタマイズできるように。
  • 生成マッチ – 画像を読み込ませて、そのテイストを適用。意匠がはっきりしたコンテンツをアップロードするとエラーになるセーフガード仕様。
  • プロンプト候補(英語のみ)- AIが理解しやすいいくつかのプロンプトの候補を、文字を入力するたびに表示してくれる

Adobe Firefly Vector Model

プロンプトを入力するだけでベクターを生成できるモデルで、Illustratorに実装されました。

「お座りした2匹のチワワ」と日本語入力したところ、オドロキの仕上がり具合

  • テキストからベクター生成 – 文字を入力するだけで編集可能なベクターファイルを作成できる。「被写体・シーン・アイコン・パターン」の4つの用途から選択可能。ニュアンスをスポイトツールで抽出することも
  • モックアップ(ベータ版)の追加 – 新しくモックアップというライブラリが追加され、パッケージやアパレルなどのモックアップを試すことができる。ライブラリ内にないものでも作成可能(2つのオブジェクトを選んだ状態で、「オブジェクト」>「モックアップ」>「作成」)
  • Retype – 「フォントの再編集」改め「Retype」に。アウトラインされた文字や画像に映ったフォントに近い書体を見つけ、編集できるように
  • Adobe Illustrator web版(ベータ版・英語)

Adobe Firefly Design Model

Adobe Expressに実装された新しいAI機能で、生成

  • テキストからテンプレート生成 – 目的に合ったものが見つからないときに、文字だけでテンプレートを生成できる
  • 生成塗りつぶしの追加
  • 翻訳機能(45国語)

Adobe Creative Cloudその他の新機能

Lightroom | MAX 2023アップデート

  • ぼかし(レンズ) – AIによるぼかし効果の追加
  • HDR写真編集に対応 – 切り取られることなくオリジナルサイズでの編集が可能に
  • ポイントカラー – 対象範囲を限定したカラー編集
  • モバイルでより使いやすく – スマホからすべての写真にアクセスできる、UIも改善された

Premiere Pro | MAX 2023アップデート

【Premiere Pro】新機能:文字起こしベースの編集、フィラーワード検出(ベータ版) | アドビ公式
  • フィラワード検出 – 「あの」や「えっと」などの言葉を会話の中から簡単に検出でき、検索も可能
  • 文字起こしベースの編集 – テキストのコピー&ペーストで簡単にラフカットを作成できる機能
  • 一括処理 – 無音部分やフィラーワードなど、不要な部分を一度に素早く削除できます。

Illustrator | MAX 2023アップデート

新しいAIツール「Adobe Firefly Vector Model」は、Illustratorにすでに実装済みとなっています。

Photoshop | MAX 2023アップデート

  • Photoshop web版で生成AIが利用可能 – 先日公開されたweb版が、Adobe Maxでも正式発表に

Photoshopの最新アップデートについて、以下の記事で紹介しています。

参照記事 : 知っておきたいPhotoshop 2024&ベータ版の最新機能7つ

Adobe Stock | 2023アップデート

Adobe StockにもFireflykの技術を活用した新機能が登場し、サイト上で直接画像の生成しながら拡張するなど、用途の広い「生成拡張」

  • テキストから画像生成 – 生成された画像の知的財産(IP)の免責保証つきで、商用利用可能
  • 生成拡張 – 新しいアスペクト比に合わせて画像を編集したり、写真の背景を拡張してコンテンツを配置するスペースをつくりたい、そんなときに便利な機能

すべての新機能・アップデートはAdobe各アプリからすでに利用可能です。

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参照記事 : Adobe StockにAdobe Fireflyの技術を活用した新機能を提供 – Adobeブログ

参照記事 : 457 Adobe MAX 2023 爆速レポート – Adobeブログ

参照記事 : クリエイティブの未来はAdobe Fireflyにあり〜新次元の創造性を解き放つ生成AIの新機能をご紹介 – Adobeブログ