写真の背景から人物や髪の毛など複雑な一部を切り抜く作業は、普段のデザイン制作でもよく活用するテクニックのひとつで、できればあまり時間をかけずに行いたいものです。
これまでにもフォトショップのさまざまなツールや機能を利用した、切り抜きテクニックをご紹介してきました。
また人工知能、AIをつかって人物などのオブジェクトをほんの数秒で、しかも自動で切り抜く無料オンラインサービスも登場しています。
画像をキレイに切り抜いたと思っても、実際に他の画像の上などに重ねてみると、切り抜いた画像の境界線が目立って、不自然な仕上がりになることも。
この記事では、切り抜いた画像の境界線をきれいに調整する方法5個をまとめてご紹介します。
これらの小技テクニックをマスターすることで、よりナチュラルな写真合成を手軽に実現できるようになります。
小技テクニックの目次
- 1. 選択範囲をよりなめらかにする「グローバル調整」
- 2. 光の反射に対応した境界線の調整
- 3. 切り抜いた画像の境界線の汚れ、フリンジをきれいに除去する方法
- 4. 風景写真の空をきれいに変える境界線の調整
- 5. 「不要なカラーを除去」機能をつかった選択範囲の調整
- 6. Adobe Stockで美しい写真を手に入れよう。
フォトショップ切り抜きを極める!境界線をきれいに調整する瞬速テクニックまとめ/h2>
1. 選択範囲をよりなめらかにする「選択とマスク」の「グローバル調整」
フォトショップの切り抜き作業でもっとも簡単な方法のひとつ。ツールボックスより「クイック選択ツール W」を選択し、オプションバーにある「被写体を選択」ボタンを押してみましょう。
すると、レモンを持った手だけが見事に選択されました。
ズームアップしてよく見てみると、真ん中の中抜き部分が選択されていません。このようなときは、Optionを押しながら、切り抜きたい部分をクリックしましょう。こうすることで、「現在の選択範囲から一部を削除」することができます。
つぎに選択範囲を確認してみると、ギザギザとした不自然な状態になっています。オプションバーより「選択とマスク」をクリックし、選択範囲をより細かく調整していきましょう。
- 表示されたダイアログパネルより「表示モード」を「黒地(A)」に変更しておくと、選択範囲がわかりやすいかもしれません。
- 「グローバル調整」より「ぼかし」、「コントラスト」、「エッジをシフト」スライダーをプレビュー画面を確認しなが設定していきましょう。ここでは「ぼかし(4.5px)」、「コントラスト(35%)」、「エッジをシフト(-28%)」で調整しています。
- さいごに「出力設定」より「出力: レイヤーマスク」を選択すれば完了です。
切り抜いたレイヤーを他の写真に重ねてみましょう。レイヤーはお好みで自由に変形できるので、構図に合わせて配置してみましょう。
配置した状態がこちら。切り抜いた選択範囲が気にならない程度に編集することができました。ここまで3分もかかっていません。
2. 光の反射に対応した、切り抜き画像の写真合成テクニック
前ステップの写真をもう一度確認してみると、選択範囲はうまく調整することはできましたが、光の反射具合が背景の写真に比べてやや明るすぎるようです。こちらも調整してしまいます。
- レイヤーパレット上で切り抜いた画像のレイヤーマスクをCommand/Ctrlを押しながらクリックしましょう。
- これで、選択範囲を指定することができます。
- メインメニューより「選択範囲」>「選択範囲を変更」>「縮小…」をクリックし、「縮小値: 15px」に設定します。
- 再度メインメニューより「選択範囲」>「選択範囲を変更」>「境界をぼかす…」をクリックし、「ぼかしの半径: 45px」に設定します。
- ふたたびメインメニューより「選択範囲」>「選択範囲を反転」を選択しましょう。
- 選択範囲を選択した状態で。新しいレイヤーを作成、一番上に配置し、「縁エッジカラー」に名前を変更しておきます。
- メインメニューより「編集」>「塗りつぶし」を選択しましょう。
- 表示されたダイアログパネル上で「内容: 描画色」としたら、表示されているカラーピッカーツールをつかって、背景写真の夕日の当たった建物から色を抽出したら、OKボタンで完了。
- レイヤーパネル上で、「縁エッジレイヤー」と「切り抜き」レイヤーの間をOption/Altを押しながらクリック。これでクリッピングマスクを適用できました。
クリッピングマスクした範囲が不自然なので、こちらも調整してしまいます。
- クリピングマスクを適用した「縁エッジカラー」レイヤーを選択し、レイヤーの描画モードを「ソフトライト」に変更しましょう。
- さいごに「レイヤーの不透明度」を65%に調整したら完了です。
完成した様子がこちら。
ほんの少しの違いに見えますが、全体的に茶色味がかったよりナチュラルな色合いを、選択範囲に追加することができました。ディテールにこだわった、本格的な写真合成を可能にするテクニックと言えるでしょう。
3. 切り抜いた画像の境界線の汚れ、フリンジをきれいに除去する方法
髪の毛など複雑な選択範囲を指定したときに目立ってしまう境界線の汚れ、フリンジ。このフリンジをうまく除去する方法がこちら。
まずはお好みの方法で、女性モデルのみを選択します。今回は、前ステップ同様に「被写体を選択」ボタンより行います。
こちらも同様に、「選択とマスク」のダイアログパネル上で、「境界線調整ブラシツール」をつかって、髪の毛のより細かい部分を調整していきましょう。さいごは、出力設定を「レイヤーマスク」で切り抜きは完了です。
では実際に、美しい満月の砂浜が写った画像を背景に配置してみましょう。ここは、お好みで構いません。
背景画像を配置した様子がこちら。よく見てみると人物の周り、特に髪の毛周辺に白く光る部分があるのに気付きます。これがフリンジ(英: Fringe)と呼ばれる境界線の汚れのようなものです。
フリンジを除去するもっとも手軽な方法のひとつがこちら。
- レイヤーパネル上で切り抜いた画像のレイヤーマスクを選択します。
- ツールボックスより「ブラシツール B」を選択し、オプションバーより「モード」を「ソフトライト」に設定します。(場合によってはオーバーレイ、スクリーンも有効)
- 描画色「黒(#000000)」に設定したら、髪の毛まわりを中心にフリンジの気になる部分をペイントしていくだけ。
こちらが編集前と後のビフォーアフター。境界線がよりきれいになり、髪の毛といった複雑な選択範囲もうまく合成することができました。
4. 風景写真の空をきれいに変える境界線調整テクニック
美しい風景写真の空模様を曇りから晴れにしたりといった写真合成、レタッチ術で便利なテクニック。
- ツールボックスより「クイック選択ツール W」を選択し、空の部分のみをペイントしましょう。
- 選択範囲が決定したら、Option/Ctrlを押しながら、レイヤーパネルの下にある「ベクトルマスクを追加」ボタンをクリック。
- これで選択範囲を反転させた状態でレイヤーマスクを適用することができます。
用意しておいた別の空画像をレイヤーの下に配置します。
オリジナル画像との色味が若干異なるので、こちらも調整しておきます。
- メインメニューより「イメージ」>「色調補正」>「色相・彩度」を選択する(ショートカットキー: Command/Ctrl+U)。
- 「色相: -16」、「彩度: -55」に調整したらOK。
- レイヤーパネル上で切り抜いた画像のレイヤーマスクをクリックし、選択範囲を指定する。
- メインメニューより「イメージ」>「色調補正」>「レベル補正」を選択(ショートカットキー: Command/Ctrl+L)したら、ツマミを左右にスライドさせ調整しましょう。
風景画など細かい選択範囲が必要なときに、レベル補正でコントラストを調整することで、よりくっきりとした境界線を描くことができます。
5. 「不要なカラーを除去」機能をつかった選択範囲の調整テクニック
ふわふわの髪の毛をしたモデルが、ごちゃっとした背景に立っている場合、キレイに切り抜くのはなかなか難しい作業かもしれません。
そんなときは、「不要なカラーを除去」機能をつかってみましょう。今回は、こちらの女性モデルを切り抜き、前ステップの風景画像に合成してみます。
- 切り抜きたい画像を背景の風景画像の上に配置する。
- これまで同様に「被写体を選択」ボタンより、「選択とマスク」のダイアログパネルを表示する。
- 髪の毛の選択範囲がわかりにくいので、「表示モード」を「レイヤー上」にする。
- こうすることで「不要なカラーを除去」機能を使ったときに、適用されている様子を確認しやすくなります。
「境界線調整ブラシツール」を使って、髪の毛の部分を少しずつなぞるようにペイントしていきましょう。
「不要なカラーを除去」にチェックを入れ、「適用量」を調整します。今回は、「69%」としています。最後に「出力先」を「レイヤーマスク」とすれば境界線の調整は完了です。
できあがりがこちら。最後に全体の色味をマッチさせるために、調整レイヤーより「トーンカーブ」や「カラールックアップ」を追加しました。
いかがでしたでしょう。どれも切り抜き画像の境界線をうまく調整することができるテクニックばかりです。制作しているデザインの用途に合わせて、テクニックを使い分けてみましょう。
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参照元リンク : 5 MUST KNOW TRICKS FOR BETTER SELECTIONS IN PHOTOSHOP – Tutvid.com